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白山に雪降りぬれば跡絶えて
今はこしぢに人も通はず

歌の意味
白山に雪が降ったので、人の足跡も絶えて、今は越路を通う人もいない。そのように、あの方が通ってきた道にも、今は訪れる人がいない。
鑑賞
巻第八 冬歌 470

詞書「式部卿敦実の親王、忍びて通ふ所侍りけるを、のちのち絶え絶えになり侍りければ、妹の前斎宮の親王のもとより、このごろはいかにぞとありければ、その返事に、女」
 白山に雪が降ったので足跡も絶え、今は越路を通う人もいないと詠んだ歌である。雪に閉ざされた越の国の道に託して、通ってきていた親王の訪れが絶えてしまったことを伝えている。
 詞書によれば、式部卿の敦実親王がひそかに通っていた女のもとへ、のちに訪れが途絶えがちになったので、親王の妹である前斎宮から、このごろはどうかと尋ねてきた。その返事として、女が詠んだ歌である。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。詞書によれば、敦実親王が通っていた女である。敦実親王は宇多天皇の皇子で、妹の前斎宮は伊勢斎宮を務めた柔子内親王と考えられる。

 初句「白山に」は、加賀と越前の境にある白山に、の意で、雪の名所として知られた歌枕である。
 二句「雪降りぬれば」は、雪が降ったので、の意である。
 三句「跡絶えて」は、人の足跡が絶えて、の意で、親王の訪れが絶えたことを重ねている。
 四句「今はこしぢに」の「こしぢ」は、北陸地方へ向かう道の「越路」と、親王が通って「来し路」を掛けた掛詞である。
 結句「人も通はず」は、通う人もいない、の意で、親王が通ってこなくなったことをいっている。

しらやま:加賀と越前の境にある白山、雪の名所として知られる歌枕
こしぢ:北陸地方へ向かう道の「越路」と、通って「来し路」を掛ける
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
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ちはやぶる神無月こそ悲しけれ わが身時雨にふりぬと思へば
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降り初めて友待つ雪はむばたまの わが黒髪の変はるなりけり