憂きことのまどろむほどは忘られて
覚むれば夢の心地こそすれ
- 歌の意味
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つらいことが、うとうとと眠っている間は忘れられて、目が覚めると、かえってその現実のほうが夢であるかのような心地がすることだ。
- 鑑賞
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巻第十七 雑歌中 1125
詞書「題知らず」
つらいことはまどろむ間は忘れられて、覚めると夢のような心地がする、と詠む。眠っている間はつらいことを忘れていられるが、目覚めると憂き現実に引き戻される。その現実があまりにつらいので、かえってこちらの方が悪い夢であるかのように感じられると、夢と現の逆転によって憂き世の苦しさを詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」とあり、名は明らかでない。
本巻の第千百二十三首の四句「覚むべきほどは」と「覚む」「夢」を共有する。第千百二十三首がこの世を夢と見ながら覚める時を知らないと詠むのに対し、本歌は覚めた現実をこそ夢と感じると詠んでいる。
初句「憂きことの」は、つらいことが、の意である。
二句「まどろむほどは」は、うとうとと眠っている間は、の意である。
三句「忘られて」の「れ」は自発の助動詞「る」の連用形で、自然と忘れられて、の意である。
四句「覚むれば夢の」は、目が覚めると夢の、の意である。本巻の第千百二十三首の四句「覚むべきほどは」と「覚む」を共有する。
結句「心地こそすれ」の「こそ」は強意の係助詞で、已然形の「すれ」で結ぶ係り結びである。
まどろむ:うとうとと眠る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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千載和歌集
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この世をば雲の林に門出して 煙とならん夕べをぞ待つ
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いづくとも身をやる方の知られねば 憂しと見つつもながらふるかな