世とともにあふくま川の遠ければ
底なる影を見ぬぞわびしき
- 歌の意味
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いつまでも、逢うという名の阿武隈川は遠いので、その水底に映る姿を見られないのがつらい。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 520
詞書「題しらず」
逢うという名をもつ阿武隈川はいつまでも遠く、その水底に映る姿を見ることができないのがつらいと詠んだ歌である。逢うことのかなわない相手の姿を、遠い川の底の影にたとえて嘆いている。
「あふくま」に「逢ふ」を掛ける趣向は、本巻の第五百十六首の「逢坂の関」と同じく、地名に逢うことを託したものである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「世とともに」は、いつまでも、ずっと、の意である。本巻の第五百二十八首の三句も「世とともに」と置いている。
二句「あふくま川の」の「あふくま」は、陸奥の「阿武隈」川と、「逢ふ」を掛けた掛詞である。
三句「遠ければ」は、遠いので、の意で、逢うことが遠いことを重ねている。
四句「底なる影を」は、水底に映る姿を、の意で、恋しい人の面影をいっている。
結句「見ぬぞわびしき」は、見られないのがつらい、の意で、係助詞「ぞ」と連体形「わびしき」が係り結びをなしている。
あふくまがは:陸奥の「阿武隈川」と、「逢ふ」を掛ける
かげ:水に映る姿、面影
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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干しがてに濡れぬべきかな唐衣 乾くたもとの世々になければ
- 次の歌
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わがごとく相思ふ人のなき時は 深き心もかひなかりけり