古典和歌stream

わがごとく相思ふ人のなき時は
深き心もかひなかりけり

歌の意味
私と同じように思い返してくれる人がいない時は、深い心もかいのないものであったよ。
鑑賞
巻第九 恋歌一 521

詞書「題しらず」
 自分と同じように思い返してくれる相手がいなければ、どれほど深く思ってもかいがないと詠んだ歌である。片思いのむなしさを、平明なことばで言い切っている。
 本巻の第五百十七首と第五百十八首が「しるしなし」と詠んだのと同じく、報われない思いのむなしさを嘆いている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「わがごとく」は、私と同じように、の意である。
 二句「相思ふ人の」は、互いに思い合う人が、の意である。
 三句「なき時は」は、いない時は、の意である。
 四句「深き心も」は、深く思う心も、の意である。
 結句「かひなかりけり」は、かいのないものであったよ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表している。

あひおもふ:互いに思い合う
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
世とともにあふくま川の遠ければ 底なる影を見ぬぞわびしき
次の歌
いつしかとわがまつ山に今はとて 越ゆなる浪に濡るる袖かな