氷こそ今はすらしもみ吉野の
山の滝つ瀬声も聞こえず
- 歌の意味
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今はもう氷が張っているらしい。吉野の山の急流は、その音も聞こえない。
- 鑑賞
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巻第八 冬歌 477
詞書「題しらず」
今はもう氷が張っているらしい、吉野の山の急流は音も聞こえない、と詠んだ歌である。いつもは激しく流れる吉野の急流の音が聞こえないことから、氷に閉ざされたことを推し量り、冬の深まりを表している。
本巻の第四百八十八首も、天の川が冬は氷に閉ざされて水音もしないと詠んでおり、水音が絶えることから氷を推し量る趣向が共通している。また第四百六十五首と同じく「み吉野」を詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「氷こそ」の「こそ」は強めの係助詞で、氷こそが、の意である。
二句「今はすらしも」の「す」は氷が張る意で、「らし」は根拠のある推定を表す助動詞、「も」は詠嘆である。初句の「こそ」を受けて「らし」で結び、今は氷が張っているらしい、の意である。ここで句切れとなる。
三句「み吉野の」の「み」は美称の接頭語で、大和の吉野をいう歌枕である。
四句「山の滝つ瀬」は、山の急流、の意である。
結句「声も聞こえず」は、水音も聞こえない、の意で、二句の推定の根拠を示している。
たきつせ:水の激しく流れる瀬、急流
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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霜枯れの枝となわびそ白雪の 消えぬ限りは花とこそ見れ
- 次の歌
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夜を寒み寝覚めて聞けばをしぞ鳴く 払ひもあへず霜や置くらん