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ふるさとの雪は花とぞ降り積もる
ながむる我も思ひ消えつつ

歌の意味
古里の雪は花のように降り積もっている。それを眺める私も、物思いに身も消え入るようでいる。
鑑賞
巻第八 冬歌 485

詞書「題しらず」
 古里の雪は花のように降り積もり、それを眺める私も物思いに身も消え入りそうだと詠んだ歌である。人の訪れも少ない古里に降り積もる雪を花に見立てながら、雪が消えるように物思いに沈む心を重ねている。
 本巻の第四百五十九首の伊勢の歌も「ふるさと」に「降る」を掛けており、ともに古里に降るものを詠んでいる。また雪を花に見立てる趣向は、第四百七十五首や第四百七十六首と共通している。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「ふるさとの」の「ふる」は、「古里」の「古る」と、雪が「降る」を掛けた掛詞である。
 二句「雪は花とぞ」は、雪は花のように、の意で、雪を花に見立てている。
 三句「降り積もる」は、二句の「ぞ」を受けて連体形で結ぶ係り結びで、ここで句切れとなる。
 四句「ながむる我も」は、物思いに沈んで眺める私も、の意である。
 結句「思ひ消えつつ」は、思い悩んで身も消え入るようで、の意で、「消え」は「雪」の縁語である。

ふるさと:「古里」の意と、雪が「降る」意を掛ける
ながむ:物思いに沈みながらぼんやりと見る
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
白雲の下りゐる山と見えつるは 降り積む雪の消えぬなりけり
次の歌
流れゆく水凍りぬる冬さへや なほうき草の跡はとどめぬ