世をうみて我が貸す糸は七夕の
涙の玉の緒とやなるらん
- 歌の意味
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世の中をつらく思いながら紡いで、私が七夕に貸す糸は、別れを嘆く織女の涙の玉を貫く緒となるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑秋歌 1087
詞書「題しらず」
世をつらく思いながら紡いで七夕に供える糸は、別れを嘆く織女の涙の玉を貫く緒となるのだろうかと詠む歌である。七夕に糸を供える習わしを背景に、世を憂える自らの心と、別れを嘆く織女の涙とを重ねている。
初句「世をうみて」は、「うみ」が世を「倦み」と、糸を「績み」を掛ける掛詞で、世の中をつらく思いながら糸を紡いで、の意となる。
二句「我が貸す糸は」は、私が貸す糸は、の意で、七夕に供える糸を織女に「貸す」と表している。巻頭の第千八十二首の四句「いとかくばかり」と、七夕に供える糸を詠む点で通じている。七夕に物を貸すという言い方は、本巻の第千八十八首の結句「猶や貸さまし」、第千九十一首の結句「衣貸す夜は」にも見られる。
三句「七夕の」は、織女の、の意である。
四句「涙の玉の」は、別れを嘆く織女の涙を玉に見立てた語である。
結句「緒とやなるらん」は、玉を貫く緒となるのだろうか、の意で、「や」は疑問の係助詞、「らん」は現在推量の助動詞の連体形で、係り結びとなる。「糸」「玉」「緒」は縁語をなしている。
うむ:世を「倦む」意と、繊維を縒り合わせて糸にする「績む」意を掛ける
を:緒。玉を貫き通す紐
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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織女のうらやましきに天の川 今宵ばかりはおりや立たまし
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天の川川辺涼しき七夕に 扇の風を猶や貸さまし