織女のうらやましきに天の川
今宵ばかりはおりや立たまし
- 歌の意味
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織女がうらやましいので、今宵だけは私も天の川に下り立ってみようか。
- 鑑賞
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巻第十七 雑秋歌 1086
詞書「七夕祭り描ける御扇に、書かせ給ひける」
年に一度恋人と逢える織女がうらやましく、今宵ばかりは自分も天の川に下り立ってみようかと詠む歌である。詞書から、七夕祭りの絵を描いた扇に、村上天皇が書きつけた歌とわかる。逢瀬のかなう織女をうらやむ心を、天の川に下り立つという大らかな空想で表している。
作者の「天暦御製」は村上天皇である。醍醐天皇の皇子で、その治世は天暦の治とたたえられた。和歌を好み、梨壺に和歌所を置いて後撰和歌集の撰進を命じた。
初句「織女の」は、織女星の、の意で、「たなばた」と読む。本巻の第千八十三首の初句「七夕の」、第千八十四首の三句「織女の」と同じく、七夕の星を詠んでいる。
二句「うらやましきに」は、うらやましいので、の意で、「に」は原因を表す。
三句「天の川」は、牽牛と織女を隔てる天の川である。本巻の第千八十八首、第千八十九首、第千九十三首も「天の川」で始まり、天の川を詠む歌が続いている。
四句「今宵ばかりは」は、今夜だけは、の意である。
結句「おりや立たまし」は、下り立ってみようか、の意で、「おり」は天の川に「下り」と、機を「織り」を掛ける掛詞であり、織女にちなむ。「や」は疑問の係助詞で、ためらいの意志を表す助動詞「まし」の連体形で結ぶ係り結びである。
おりたつ:川に「下り立つ」意。「おり」に織女が機を「織り」を掛ける
- 作者
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村上天皇
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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渡し守はや舟隠せ一年に 二たび来ます君ならなくに
- 次の歌
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世をうみて我が貸す糸は七夕の 涙の玉の緒とやなるらん