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関越ゆる道とはなしに近ながら
年にさはりて春を待つかな

歌の意味
関所を越える道というわけではないのに、すぐ近くにありながら、年に隔てられて、春を待つことであるよ。
鑑賞
巻第八 冬歌 505

詞書「題しらず」
 関所を越える道というわけではないのに、すぐ近くにありながら、年に隔てられて春を待つことだ、と詠んだ歌である。春はすぐそこにあるのに、年が改まらなければ来ないもどかしさを、関所に隔てられる旅にたとえて表している。
 本巻の第四百九十八首と同じく、春を待つ心を詠んでいる。年の暮れの一連のなかで、年という関所に隔てられて春を待つ思いを詠んだ歌である。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「関越ゆる」は、関所を越える、の意である。
 二句「道とはなしに」は、道というわけではないのに、の意である。
 三句「近ながら」は、近くにありながら、の意で、春がすぐそこにあることをいっている。
 四句「年にさはりて」は、年に妨げられて、の意で、年を関所に見立てている。
 結句「春を待つかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、春を待つことであるよ、の意である。本巻の第四百九十八首の結句「春を待つらん」と同じ語を用いている。

せき:関所、通行を取り締まるところ
さはる:妨げられる、さえぎられる
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
この月の年のあまりに足らざらば 鶯ははや鳴きぞしなまし
次の歌
もの思ふと過ぐる月日も知らぬ間に 今年は今日に果てぬとか聞く