淵瀬ともいさやしら浪立ち騒ぐ
我が身ひとつは寄る方もなし
- 歌の意味
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どこが淵でどこが瀬かとも、さあ私は知らない。白波が立ち騒ぐように心乱れる私の身ひとつは、寄るべきところもない。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 526
詞書「返し」
どこが淵でどこが瀬かなど私は知らない、白波が立ち騒ぐなかで、私の身ひとつは寄るところもない、と詠んだ歌である。前歌の淵と瀬を受け、ほかの女に心を移したと責められたことを否定し、自分こそ頼るあてもないと答えている。
前歌への返歌である。前歌の「瀬」「淵」を受けて「淵瀬」と返し、「我が身」を受けて「我が身ひとつ」と答えている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「淵瀬とも」は、淵とも瀬とも、の意で、前歌の「瀬」と「淵」を受けている。
二句「いさやしら浪」の「いさや」は、さあどうだか、の意で、「しら」は、「知ら」ずの意と「白」浪を掛けた掛詞である。
三句「立ち騒ぐ」は、波が立ち騒ぐ、の意で、心の乱れを重ねている。
四句「我が身ひとつは」は、私の身ひとつは、の意で、前歌の結句「我が身なりける」を受けている。
結句「寄る方もなし」は、寄るべきところもない、の意で、「寄る」は波の縁語である。
しらなみ:「知らず」の「知ら」と「白浪」を掛ける
ふちせ:淵と瀬、川の深いところと浅いところ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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ほかの瀬は深くなるらしあすか川 昨日の淵ぞ我が身なりける
- 次の歌
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光待つ露に心を置ける身は 消えかへりつつ世をぞ恨むる