潮満たぬ海と聞けばや世とともに
みるめなくして年の経ぬらん
- 歌の意味
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潮の満ちない海、つまり淡海と聞くからだろうか。いつまでも海松布が生えないように、逢う機会もないまま年が過ぎてしまうのだろう。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 528
詞書「ある所に近江と言ひける人のもとにつかはしける」
潮の満ちない淡海だと聞くからだろうか、いつまでも海松布がないように逢う機会もないまま年が過ぎていく、と詠んだ歌である。相手の名の「近江」から潮の満ちない湖を連想し、逢えない嘆きを海松布に託している。
詞書によれば、ある所にいる近江という名の人に送った歌である。近江の国の湖が淡海と呼ばれ、潮の満ちない海であることを、相手の名に重ねている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「潮満たぬ」は、潮の満ちない、の意で、淡水の湖をいっている。
二句「海と聞けばや」は、海と聞くからだろうか、の意で、相手の名の「近江」に、淡海の意をとらえている。「や」は疑問の係助詞である。
三句「世とともに」は、いつまでも、の意である。本巻の第五百二十首の初句と同じ句である。
四句「みるめなくして」の「みるめ」は、海藻の「海松布」と、逢う機会の「見る目」を掛けた掛詞である。
結句「年の経ぬらん」は、年が過ぎてしまうのだろう、の意で、二句の「や」を受けて連体形「らん」で結ぶ係り結びとなっている。
みるめ:海藻の「海松布」と、逢う機会の「見る目」を掛ける
あふみ:近江の国、潮の満ちない淡水の湖の意をもつ
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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光待つ露に心を置ける身は 消えかへりつつ世をぞ恨むる
- 次の歌
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唐衣きて帰りにしさ夜すがら あはれと思ふを恨むらんはた