木枯らしの森の下草風早み
人のなげきは生ひ添ひにけり
- 歌の意味
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木枯らしの森の下草が、風が激しいのに伸びていくように、あなたの嘆きは、いよいよ生い茂ってしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 572
詞書「返し」
木枯らしの森の下草が激しい風にあおられるように、あなたの嘆きはいよいよ生い茂ったことだ、と詠んだ歌である。前歌で恨み言を言われたのを受け、相手の嘆きが増すばかりだと、距離を置いて受け流している。
前歌への返歌である。前歌の「思ふ」を重ねる言葉遊びに対し、木枯らしの森の景に「なげき」を託して返している。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「木枯らしの」は、駿河の国の木枯らしの森をいう歌枕で、冬の激しい風も思わせている。
二句「森の下草」は、森の木の下に生える草、の意である。
三句「風早み」は、「~み」の形で理由を表し、風が激しいので、の意である。
四句「人のなげきは」の「なげき」は、「嘆き」と「木」を掛けた掛詞で、森の縁語となっている。
結句「生ひ添ひにけり」は、生い茂って加わったことだ、の意で、「生ひ」は下草の縁語である。
こがらしのもり:駿河の国にある森の名、歌枕
なげき:「嘆き」の意と「木」を掛ける
おひそふ:生い茂って加わる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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思ふ人思はぬ人の思ふ人 思はざらなん思ひ知るべく
- 次の歌
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別れをば悲しきものと聞きしかど うしろやすくも思ほゆるかな