別れをば悲しきものと聞きしかど
うしろやすくも思ほゆるかな
- 歌の意味
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別れは悲しいものだと聞いていたけれど、あとの気がかりもなく、安らかに思われることだ。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 573
詞書「男の異女迎ふるを見て、親の家にまかり帰るとて」
別れは悲しいものだと聞いていたのに、かえってあとの気がかりもなく安らかに思われる、と詠んだ歌である。男がほかの女を迎えるのを見て家を去る際に、未練のない思いを強がって示している。
詞書によれば、男が別の女を迎え入れるのを見て、親の家へ帰ろうとして詠んだ歌である。悲しいはずの別れを「うしろやすし」と言い切ることで、かえって深い痛みをうかがわせている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「別れをば」は、別れというものを、の意である。
二句「悲しきものと」は、悲しいものだと、の意である。
三句「聞きしかど」は、聞いていたけれど、の意で、「ど」は逆接の接続助詞である。
四句「うしろやすくも」は、あとの気がかりもなく、安心に、の意である。
結句「思ほゆるかな」は、自然に思われることだ、の意で、本巻の第五百三十七首の結句と同じ句である。
ことをんな:別の女、ほかの女
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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木枯らしの森の下草風早み 人のなげきは生ひ添ひにけり
- 次の歌
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泣きたむる袂凍れる今朝見れば 心解けても君を思はず