海人の刈る藻に住む虫の名は聞けど
ただわれからのつらきなりけり
- 歌の意味
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海人の刈る藻に住む虫の名、「われから」は聞いているけれども、まさに我から、自分のせいで生じたつらさであったのだ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 987
詞書「題しらず」
海人の刈る藻に住む虫の名「われから」は聞いているが、このつらさはまさに我から、自分のせいであったのだ、と詠む歌である。虫の名に掛けて、恋の苦しみは自分自身が招いたものだと悟る心を詠んでいる。
前歌の第九百八十六首と同じ趣向を用いながら、前歌が「われから」を忘れて相手を恨むのに対し、本歌は「われから」を思い知って自らを省みており、二首で反転した構図をなしている。恨みの歌の一連の最後の歌でもある。
初句「海人の刈る」は、漁師が刈り取る、の意である。前歌の第九百八十六首の三句「海人の刈る」と同じ句である。
二句「藻に住む虫の」は、海藻に住む虫の、の意である。前歌の四句「藻に住む虫の」と同じ句である。
三句「名は聞けど」は、名は聞いているけれども、の意で、前歌の結句「名を忘れつつ」と、名を知りつつ忘れるのと、名を聞いて悟るのとで対をなしている。
四句「ただわれからの」は、まさに自分のせいでの、の意で、「われから」は海藻に住む虫の「割殻」に、自分のせいでの意の「我から」を掛けた掛詞である。
結句「つらきなりけり」は、つらさであったのだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
われから:海藻に住む小虫の「割殻」と、自分のせいでの意の「我から」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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君をなほ怨みつるかな海人の刈る 藻に住む虫の名を忘れつつ
- 次の歌
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恋ひわびぬ悲しきことも慰めん いづれなかすの浜辺なるらん