恋ひわびぬ悲しきことも慰めん
いづれなかすの浜辺なるらん
- 歌の意味
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恋に疲れ果ててしまった。この悲しみも慰めよう。泣かずにすむという長洲の浜辺は、いったいどこなのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 988
詞書は前の歌に続き「題しらず」
恋に疲れ果ててしまった、悲しみも慰めよう、泣かずにすむという長洲の浜辺はどこなのだろうか、と詠む歌である。恋の悲しみから逃れたいという願いを、「泣かず」に通じる地名に託し、その浜辺を探し求める姿として詠んでいる。
初句「恋ひわびぬ」は、恋に疲れ果ててしまった、の意で、「ぬ」は完了の助動詞である。ここで句切れとなる。
二句「悲しきことも」は、この悲しいことも、の意である。
三句「慰めん」は、慰めよう、の意で、「ん」は意志の助動詞である。ここで句切れとなる。
四句「いづれなかすの」は、どこが長洲の、の意で、「なかす」は「泣かず」に、摂津国の地名とされる「長洲」を掛けた掛詞である。前歌までの恨みの歌の一連で詠まれた「音を泣く」心から、泣かずにすむ所を求める心へと転じている。
結句「浜辺なるらん」は、浜辺なのだろうか、の意で、「らん」は現在推量の助動詞である。本巻の巻頭の第九百二十五首の「同じ渚に流れ寄るべく」と、涙と浜辺とを結びつける点が通じている。
こひわぶ:恋ひ侘ぶ。恋に思い悩んで気力を失う
なかす:「泣かず」と、摂津国の地名とされる「長洲」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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海人の刈る藻に住む虫の名は聞けど ただわれからのつらきなりけり
- 次の歌
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かくばかり憂しと思ふに恋しきは 我さへ心ふたつありけり