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色深く染めし袂のいとどしく
涙にさへも濃さまさるかな

歌の意味
色深く染めた袂が、いっそう、涙によってまでも濃さが増していくことだ。
鑑賞
巻第九 恋歌一 587

詞書「大輔につかはしける」
 色深く染めた袂が、涙によっていっそう濃くなる、と詠んだ歌である。もともと深く染めた袂の色が、恋の紅の涙でさらに濃くなるとして、思いの深まりを訴えている。
 詞書によれば、大輔という女房に送った歌である。深く染めた色を思いの深さに重ね、涙でさらに色が増すとして、恋しさのつのることを伝えている。
 作者の「右大臣」は藤原師輔である。藤原忠平の子で、右大臣に至り、九条殿と呼ばれた。後撰和歌集が編まれたころ右大臣の地位にあった。娘の安子は村上天皇の中宮となった。

 初句「色深く」は、色を深く、の意である。
 二句「染めし袂の」は、染めた袂が、の意で、思いの深さを色の深さにたとえている。
 三句「いとどしく」は、いっそう、ますます、の意である。
 四句「涙にさへも」の「さへ」は添加を表し、涙によってまでも、の意である。
 結句「濃さまさるかな」は、濃さが増すことだ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。紅の涙で色が濃くなる趣向である。

たもと:袖、袖の下の袋のようになった部分
作者
藤原師輔
出典
後撰和歌集
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祈りけるみなかみさへぞ恨めしき 今日より外に影の見えねば
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