人知れず思ふ心は大島の
なるとはなしに嘆くころかな
- 歌の意味
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人知れず思う心は、大島の鳴門のように音を立てて人に知られることはないまま、ひとり嘆くこのごろであることよ。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 593
詞書「女につかはしける」
人知れず思う心は、大島の鳴門のように音を立てて人に知られることもないまま、嘆くこのごろだ、と詠んだ歌である。表に出せない忍ぶ恋の嘆きを、鳴門の名に託している。
詞書によれば、女に送った歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「人知れず」は、人に知られずに、の意である。
二句「思ふ心は」は、思う心は、の意である。
三句「大島の」は、周防の国の大島とされる歌枕で、渦潮の鳴門で知られる地を導いている。
四句「なるとはなしに」の「なると」は、渦潮の「鳴門」と、評判に「鳴る」とを掛けた掛詞で、噂になるというわけでもなく、の意である。
結句「嘆くころかな」は、嘆くこのごろであることよ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。
なると:渦潮の「鳴門」と、評判に「鳴る」意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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つらからば同じ心につらからん つれなき人を恋ひんともせず
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はかなくて同じ心になりにしを 思ふがごとは思ふらんやぞ