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すみよしの我が身なりせば年経とも
松より外の色を見ましや

歌の意味
私が住みよい住吉のような身であったならば、何年たっても、松よりほかの色を見たりしようか。
鑑賞
巻第九 恋歌一 597

詞書「返し」
 私が松の名所の住吉のように住みよい身であったなら、年を経ても松よりほかの色を見はしなかっただろう、と詠んだ歌である。前歌で松の色を見ないのかと責められたのに対し、住みにくくさせたのは相手のほうだと返している。
 前歌の源信明の歌への返歌である。前歌の「常磐の松の色」を受けて「松より外の色」と返している。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「すみよしの」の「すみよし」は、松の名所の「住吉」と、「住み良し」を掛けた掛詞である。
 二句「我が身なりせば」の「せば」は反実仮想の条件を表し、私の身であったならば、の意である。
 三句「年経とも」は、何年たっても、の意である。
 四句「松より外の」は、松よりほかの、の意で、前歌の四句「常磐の松の」を受けている。
 結句「色を見ましや」の「まし」は反実仮想の助動詞、「や」は反語で、色を見たりしようか、見はしなかった、の意である。

すみよし:松の名所の「住吉」と、「住み良し」を掛ける
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
定めなくあだに散りぬる花よりは 常磐の松の色をやは見ぬ
次の歌
現にもはかなきことのあやしきは 寝なくに夢の見ゆるなりけり