天の戸をあけぬあけぬと言ひなして
空鳴きしつる鳥の声かな
- 歌の意味
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天の戸が開いた、夜が明けたと言い立てて、鳴きまねをした鶏の声であることよ。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 621
詞書「女につかはしける」
天の戸が開いた、夜が明けたと言い立てて、鳴きまねをした鶏の声だ、と詠んだ歌である。まだ夜も明けないうちに別れねばならなかった恨めしさを、偽りの鶏の声のせいにしている。
詞書によれば、女に送った歌である。鶏の鳴きまねで関所の門を開けさせたという、中国の『史記』に見える孟嘗君の故事を思わせる趣向である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「天の戸を」は、夜明けに開くとされた空の戸を、の意である。
二句「あけぬあけぬと」の「あけ」は、天の戸を「開け」る意と、夜が「明け」る意を掛けた掛詞で、繰り返すことでせき立てる鶏の声を表している。
三句「言ひなして」は、わざとそのように言い立てて、の意である。
四句「空鳴きしつる」は、鳴きまねをした、の意で、「空」はうそ、偽りの意である。
結句「鳥の声かな」は、鶏の声であることよ、の意で、体言に「かな」を添えて詠嘆している。
あまのと:天の岩戸、夜明けに開くとされた空の戸
あく:天の戸を「開く」意と、夜が「明く」意を掛ける
そらなき:鳴きまね
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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臥して寝る夢路にだにも逢はぬ身は なほあさましき現とぞ思ふ
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夜もすがら濡れてわびつる唐衣 逢坂山に道まどひして