暮れぬとて寝てゆくべくもあらなくに
たどるたどるも帰るまされり
- 歌の意味
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日が暮れたからといって、泊まっていけるわけでもないのだから、暗い道をたどりたどりしてでも帰るほうがましだ。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 628
詞書「人のもとにしばしばまかりけれど、逢ひがたく侍りければ、物に書きつけ侍りける」
日が暮れたからといって泊まっていけるわけでもないから、暗い道をたどりながらでも帰るほうがましだ、と詠んだ歌である。何度訪ねても逢ってもらえない恨みを、帰るほうがましだという強がりで表している。
詞書によれば、ある人のもとにたびたび出かけたが、なかなか逢えなかったので、物に書きつけた歌である。
作者の在原業平は、平城天皇の皇子である阿保親王の子である。六歌仙、三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「ちはやぶる神代も聞かず竜田川」の歌が採られている。
初句「暮れぬとて」は、日が暮れたからといって、の意である。
二句「寝てゆくべくも」は、泊まっていけそうにも、の意である。
三句「あらなくに」は、ないのだから、の意である。
四句「たどるたどるも」は、暗い道をたどりたどりしながらでも、の意で、繰り返しによって手探りで帰る様子を表している。
結句「帰るまされり」は、帰るほうがまさっている、の意である。
たどる:道を探りながら進む
- 作者
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在原業平
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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つらくともあらんとぞ思ふよそにても 人や消ぬると聞かまほしさに
- 次の歌
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わりなしと言ふこそかつはうれしけれ おろかならずと見えぬと思へば