わりなしと言ふこそかつはうれしけれ
おろかならずと見えぬと思へば
- 歌の意味
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無理なことだとあなたが言うのは、一方ではうれしいことだ。私の思いがいいかげんなものではないと見てとってもらえたと思うので。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 629
詞書「男侍る女をいとせちに言はせ侍りけるを、女いとわりなしと言はせければ」
無理なことだとあなたが言うのは一方でうれしい、私の思いがいいかげんではないと分かってもらえたと思うから、と詠んだ歌である。拒絶の言葉さえ自分の熱意が伝わった証として受け取る、したたかな恋心を表している。
詞書によれば、夫のいる女に人を介してひどく熱心に言い寄ったところ、女が、まったく無理なことだと人を通して言わせたので詠んだ歌である。
作者の「元良のみこ」は元良親王である。陽成天皇の第一皇子で、恋多き人物として知られる。小倉百人一首には「わびぬれば今はた同じ難波なる」の歌が採られている。
初句「わりなしと」は、道理に合わない、無理なことだと、の意である。
二句「言ふこそかつは」は、言うのは一方では、の意で、「こそ」は強めの係助詞である。
三句「うれしけれ」は、うれしいことだ、の意で、二句の「こそ」を受けて已然形で結ぶ係り結びとなっている。ここで句切れとなる。
四句「おろかならずと」は、いいかげんではないと、の意である。
結句「見えぬと思へば」は、見てとってもらえたと思うので、の意で、初句から三句までと倒置の関係にある。
いはす:人を介して言わせる、取り次がせる
- 作者
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元良親王
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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暮れぬとて寝てゆくべくもあらなくに たどるたどるも帰るまされり
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我が恋を知らんと思はば田子の浦に 立つらん浪の数をかぞへよ