よそにのみまつははかなき住の江の
ゆきてさへこそ見まくほしけれ
- 歌の意味
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遠く離れてただ待っているだけではむなしい。住の江の松のように待つのではなく、こちらから出かけて行ってでも逢いたいものだ。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 653
詞書「長明の親王の母の更衣、里に侍りけるにつかはしける」
遠くからただ待つのはむなしい、住の江の松のように待つのではなく、出かけて行ってでも逢いたい、と詠んだ歌である。里に下がった更衣を恋しく思い、自ら逢いに行きたいほどの思いを伝えている。
詞書によれば、長明親王の母である更衣が里に下がっていたときに送った歌である。本巻の第六百三十八首、第六百七十二首も住の江を詠んでいる。
作者の「延喜御製」は醍醐天皇である。延喜は醍醐天皇の治世の年号で、御製は天皇の詠んだ歌をいう。宇多天皇の皇子で、古今和歌集の編纂を命じたことでも知られる。
初句「よそにのみ」は、遠く離れてばかりで、の意である。
二句「まつははかなき」の「まつ」は、「待つ」と、三句の「住の江」の「松」を掛けた掛詞で、待つだけではむなしい、の意である。ここで句切れとなる。
三句「住の江の」は、摂津の国の歌枕である住の江の、の意で、松の名所として知られる。
四句「ゆきてさへこそ」は、出かけて行ってでも、の意で、「こそ」は強めの係助詞である。
結句「見まくほしけれ」は、逢いたいものだ、の意で、四句の「こそ」を受けて已然形で結ぶ係り結びとなっている。
まつ:「待つ」と、住の江の「松」を掛ける
すみのえ:摂津の国の住吉の入り江、松と波で知られる歌枕
- 作者
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醍醐天皇
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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高砂の峰の白雲かかりける 人の心を頼みけるかな
- 次の歌
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かげろふに見しばかりにや浜千鳥 行方も知らぬ恋にまどはん