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恋しとはさらにも言はじ下紐の
解けむを人はそれと知らなむ

歌の意味
恋しいとは、今さら言うまい。下紐が自然に解けたならば、あなたはそれを私の恋しさのしるしだと知ってほしい。
鑑賞
巻第十一 恋歌三 701

詞書「女につかはしける」
 恋しいとはもう言うまい、下紐が解けたならそれを恋のしるしと知ってほしい、と詠んだ歌である。言葉で訴えるよりも、恋する人に思われると下紐が解けるという言い伝えに託して思いを伝えようとしている。
 詞書によれば、女のもとへ送った歌である。次歌の第七百二首はこれに対する返しで、二首で贈答となっている。
 作者の在原元方は、在原業平の孫で、在原棟梁の子である。古今和歌集の巻頭歌「年の内に春は来にけり」の作者として知られる。

 初句「恋しとは」は、恋しいということは、の意である。
 二句「さらにも言はじ」は、今さら言うまい、の意で、「じ」は打消の意志を表す。ここで句切れとなる。
 三句「下紐の」の下紐は、下着や袴の紐である。人に恋い慕われると下紐が自然に解けるという俗信を踏まえている。次歌の第七百二首も初句を「下紐の」としており、同じ語で応じている。
 四句「解けむを人は」は、解けるであろうことを、あなたは、の意で、「む」は推量を表す。
 結句「それと知らなむ」は、それと知ってほしい、の意で、「なむ」は他に対する願望を表す終助詞である。

したひも:下着や袴の紐
作者
在原元方
出典
後撰和歌集
前の歌
名にし負はば逢坂山のさねかづら 人に知られでくるよしもがな
次の歌
下紐のしるしとするも解けなくに 語るがごとはあらずもあるかな