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うつつにて誰契りけん定めなき
夢路に迷ふ我は我かは

歌の意味
現実の世界で、いったい誰があなたと契ったのだろう。定めのない夢の中の道に迷っている今の私は、本当の私なのだろうか。
鑑賞
巻第十一 恋歌三 711

詞書「返し」
 現実に誰が契ったのだろう、定めない夢路に迷う私は私であろうか、と詠んだ返歌である。かつて契った自分と、今の境遇に置かれた自分とが別人のように思われるという、女の心の迷いを述べている。
 前歌の第七百十首に対する返しで、本院に迎えられた女が詠んだ歌である。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。詞書によれば、前歌の作者が契った女の歌である。

 初句「うつつにて」は、現実において、の意で、結句までの夢路と対をなしている。本巻の第七百三首の初句「うつつにも」と同じく、現実と夢を対比している。
 二句「誰契りけん」は、誰が契ったのだろうか、の意で、前歌の四句「いかに契りし」を受けている。ここで句切れとなる。
 三句「定めなき」は、定まることのない、の意である。
 四句「夢路に迷ふ」は、夢の中の道に迷っている、の意である。
 結句「我は我かは」は、私は本当の私であろうか、の意で、「かは」は反語を表す。

うつつ:現実
ゆめぢ:夢の中で通う道、夢
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
昔せし我がかね言の悲しきは いかに契りしなごりなるらん
次の歌
呉服あやに恋しくありしかば ふたむら山も越えずなりにき