鈴鹿山伊勢をのあまの捨て衣
しほなれたりと人や見るらん
- 歌の意味
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鈴鹿山を越えた先の伊勢の海人が脱ぎ捨てた衣のように、あなたのもとに置いてきた私の衣を、潮に馴れて着古したものだと人は見るだろうか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 718
詞書「女のもとに衣を脱ぎ置きて、取りにつかはすとて」
伊勢の海人の捨て衣のように、置いてきた私の衣を潮馴れたものと人は見るだろうか、と詠んだ歌である。脱ぎ置いた衣を取りにやるにあたり、着古した衣を見られる恥ずかしさと、二人の仲が人に知られることへの気がかりを詠んでいる。
詞書によれば、女のもとに衣を脱いで置いてきたので、それを取りに使いをやるときに添えた歌である。
作者の「これまさの朝臣」は藤原伊尹である。右大臣藤原師輔の長男で、摂政太政大臣にまで昇った。後撰和歌集の撰集にあたった和歌所の別当を務め、小倉百人一首には「あはれとも言ふべき人は思ほえで」の歌が採られている。
初句「鈴鹿山」は、伊勢の国の歌枕で、都から伊勢へ向かう途中の山であることから、二句の「伊勢」を導いている。
二句「伊勢をのあまの」は、伊勢の海の海人の、の意である。
三句「捨て衣」は、脱ぎ捨てた衣の意で、女のもとに脱ぎ置いた自分の衣をたとえている。
四句「しほなれたりと」の「しほなれ」は、潮に馴れる意と、衣が着古されてよれよれになる意を掛ける掛詞である。
結句「人や見るらん」は、人は見るだろうか、の意で、「や」は疑問の係助詞であり、連体形「らん」で結ぶ係り結びとなっている。
すてごろも:脱ぎ捨てた衣
しほなる:潮水に馴れる意と、衣が着古されてよれよれになる意を掛ける
- 作者
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藤原伊尹
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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ももしきは斧の柄朽たす山なれや 入りにし人のおとづれもせぬ
- 次の歌
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いかで我人にも問はむ暁の 飽かぬ別れや何に似たりと