思ふてふことをぞねたく古しける
君にのみこそ言ふべかりけれ
- 歌の意味
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「思う」という言葉を、いまいましいことに、ほかの人にも言って言い古してしまったことだ。あなたにだけ言うべきだったのに。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 741
詞書「題しらず」
「思う」という言葉をいまいましくも言い古してしまった、あなたにだけ言うべきだった、と詠んだ歌である。誰にでも使い古された言葉では、本当の思いが伝わらないもどかしさを述べている。
作者の壬生忠岑は、古今和歌集の撰者の一人である。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「有明のつれなく見えし別れより」の歌が採られている。
初句「思ふてふ」は、思うという、の意で、「てふ」は「といふ」がつづまった形である。
二句「ことをぞねたく」は、言葉を、いまいましくも、の意で、「ぞ」は強めの係助詞である。
三句「古しける」は、言い古してしまった、の意で、二句の「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。ここで句切れとなる。
四句「君にのみこそ」は、あなたにだけ、の意で、「こそ」は強めの係助詞である。
結句「言ふべかりけれ」は、言うべきだったのだ、の意で、四句の「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びとなっている。
ふるす:使い古す、言い古す
- 作者
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壬生忠岑
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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夢にだにまだ見えなくに恋しきは いつに習へる心なるらん
- 次の歌
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あな恋し行きてや見まし津の国の 今もありてふ浦の初島