夢路にも宿貸す人のあらませば
寝覚めに露は払はざらまし
- 歌の意味
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せめて夢の中の道でも宿を貸してくれる人がいたならば、寝覚めに袖の露を払うこともないだろうに。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 770
詞書「人のもとにまかりて、入れざりければ簀子に臥し明かして、帰るとて言ひ入れ侍りける」
夢路でも宿を貸してくれる人がいたなら、寝覚めに露を払うこともないだろうに、と詠んだ歌である。中に入れてもらえず簀子で夜を明かした男が、せめて夢の中でも迎え入れてほしかったと恨みを述べている。
詞書によれば、ある人のもとを訪ねたが中に入れてもらえなかったので、簀子に寝て夜を明かし、帰るときに中へ言い入れた歌である。次歌の第七百七十一首は女の返しである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「夢路にも」は、夢の中の道でも、の意である。
二句「宿貸す人の」は、宿を貸してくれる人が、の意である。
三句「あらませば」は、いたならば、の意で、結句の「まし」と呼応して反実仮想を表す。
四句「寝覚めに露は」は、寝覚めに露は、の意で、簀子で夜明かしして置いた夜露と、涙を重ねている。次歌の第七百七十一首の二句「流す寝覚めも」と四句「払ふばかりの露」が、本歌の語を受けている。
結句「払はざらまし」は、払わないだろうに、の意で、三句の「ませば」を受けている。
すのこ:寝殿造りで、建物の外側に巡らした板敷きの縁
ねざめ:眠りから覚めること
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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津の国のなにはたたまく惜しみこそ すくも焚く火の下に焦がるれ
- 次の歌
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涙川流す寝覚めもあるものを 払ふばかりの露や何なり