涙川流す寝覚めもあるものを
払ふばかりの露や何なり
- 歌の意味
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涙の川を流すほどの寝覚めもあるというのに、払える程度の露など、いったい何だというのか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 771
詞書「返し」
涙の川を流す寝覚めもあるのに、払えるほどの露など何だというのか、と詠んだ返歌である。外で一夜を明かした露を訴える男に、自分は川のように涙を流して寝覚めているのだと切り返している。
前歌の第七百七十首に対する返しである。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。詞書によれば、前歌の作者が訪ねた女の歌である。
初句「涙川」は、流れる涙を川にたとえた語である。
二句「流す寝覚めも」は、涙を流す寝覚めも、の意で、前歌の四句「寝覚めに」を受けている。
三句「あるものを」は、あるのに、の意で、「ものを」は逆接の接続助詞である。
四句「払ふばかりの」は、払える程度の、の意で、前歌の結句「払はざらまし」を受けている。初句の「涙川」と、払うほどの「露」が大小の対をなしている。
結句「露や何なり」は、露など何だというのか、の意である。本巻の第七百二十二首の結句「涙何なり」と同じ言い回しで結んでいる。
なみだがは:流れる涙を川にたとえた語
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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夢路にも宿貸す人のあらませば 寝覚めに露は払はざらまし
- 次の歌
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みるめ刈る方ぞあふみになしと聞く 玉藻をさへや海人はかづかぬ