今更に思ひ出でじと忍ぶるを
恋しきにこそ忘れわびぬれ
- 歌の意味
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今さら思い出すまいとこらえているのに、恋しさのために、かえって忘れかねてしまっている。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 788
詞書「敦慶のみこの家に、大和といふ人につかはしける」
今さら思い出すまいとこらえているのに、恋しさのために忘れかねている、と詠んだ歌である。思い出さないようにと心を抑えるほど、かえって恋しさが募って忘れられない苦しさを述べている。
詞書によれば、敦慶親王の家に仕える大和という女房に送った歌である。本巻の第七百八十二首も大和という女房に贈った歌である。
作者の「左大臣」は藤原実頼である。関白藤原忠平の長男で、左大臣を経て関白太政大臣にまで昇った。小野宮に住んだことから小野宮殿とも呼ばれる。
初句「今更に」は、今さら、の意である。
二句「思ひ出でじと」は、思い出すまいと、の意で、「じ」は打消の意志を表す。
三句「忍ぶるを」は、こらえているのに、の意で、「を」は逆接を表す。
四句「恋しきにこそ」は、恋しさのために、の意で、「こそ」は強めの係助詞である。
結句「忘れわびぬれ」は、忘れかねてしまっている、の意で、四句の「こそ」を受けて已然形「ぬれ」で結ぶ係り結びとなっている。
わすれわぶ:忘れようとしても忘れられずに苦しむ
- 作者
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藤原実頼
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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つれなきを思ひしのぶのさねかづら 果てはくるをも厭ふなりけり
- 次の歌
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我がためは見るかひもなし忘れ草 忘るばかりの恋にしあらねば