こりずまの浦の白浪立ち出でて
よるほどもなくかへるばかりか
- 歌の意味
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懲りもせずにまた須磨の浦の白波が立つように出かけて来ては、波が寄る間もなく返るように、夜を過ごす間もなく帰ってしまうばかりなのか。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 800
詞書「あだに見え侍りける男に」
懲りもせず須磨の浦の白波のように出て来ては、寄る間もなく帰ってしまうばかりなのか、と詠んだ歌である。浮気な男の通いを、寄せてはすぐ返る波にたとえ、落ち着いて夜を過ごそうとしない不実を責めている。
詞書によれば、浮気に見えた男に送った歌である。本巻の第八百六十五首も「こりずまの浦」を詠んでおり、こちらは懲りもせず恋しく思う男の側から詠まれていて、責める女と懲りない男という対をなしている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「こりずまの」は、「懲りず」と地名の「須磨」を掛け、懲りもせずにまた、の意を表している。
二句「浦の白浪」は、須磨の浦に立つ白波で、男の訪れをたとえている。
三句「立ち出でて」は、波が立つ意と、男が出かけて来る意を重ねている。
四句「よるほどもなく」は、波が「寄る」意と「夜」を掛け、夜を過ごす間もなく、の意である。
結句「かへるばかりか」は、帰ってしまうばかりなのか、の意で、波が返る意と男が帰る意を掛けている。「か」は詠嘆を込めた疑問である。前歌の第七百九十九首の「かへるがへる」と同じく、返る波に帰る男を重ねている。
こりずま:「懲りず」と、摂津の歌枕「須磨」を掛ける
よる:波が「寄る」意と、「夜」を掛ける
かへる:波が「返る」意と、男が「帰る」意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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みるもなくめもなき海の磯に出でて かへるがへるもうらみつるかな
- 次の歌
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関越えて粟津の森のあはずとも 清水に見えし影を忘るな