津の国の難波わたりに作るなる
こやといはなん行きて見るべく
- 歌の意味
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津の国の難波のあたりに作るという小屋の名の昆陽のように、「来や」と言ってほしい。行って逢えるように。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 885
詞書は前の歌に続き「題しらず」
難波のあたりに作るという小屋の「こや」から、「来や」と言ってほしい、そうすれば行って逢えるのにと、相手の誘いを待つ歌である。地名の昆陽、小屋、来やと、一つの音に複数の意味を重ねた技巧が見どころである。
前歌に続き、初句を「津の国の」とする一連の三首目である。
初句「津の国の」は、摂津国の、の意で、前歌の第八百八十三首、第八百八十四首と同じ初句である。
二句「難波わたりに」は、難波のあたりに、の意である。本巻の第八百八十三首の「難波」を受けている。
三句「作るなる」は、作るという、の意で、「なる」は伝聞の助動詞「なり」の連体形である。
四句「こやといはなん」は、「来や」と言ってほしい、の意で、「こや」は、地名の「昆陽」、建物の「小屋」、来いの意の「来や」を掛けた掛詞である。「なん」は他に対する願望を表す。次歌の第八百八十六首の「まろや」と、小屋と丸屋を詠む二首が並んでいる。
結句「行きて見るべく」は、行って逢えるように、の意で、四句と倒置になり、願いの理由を示している。
こや:地名の「昆陽」、建物の「小屋」、来いの意の「来や」を掛ける
わたり:辺り。あたり。付近
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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津の国の生田の池のいくたびか つらき心を我に見すらん
- 次の歌
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旅人の茅刈り覆ひ作るてふ まろやは人を思ひ忘るる