関越えて粟津の森のあはずとも
清水に見えし影を忘るな
- 歌の意味
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逢坂の関を越えて粟津の森の方へ行き、もう逢わなくなったとしても、関の清水に映って見えた姿を忘れないでほしい。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 801
詞書「相知りて侍りける人の、近江の方へまかりければ」
関を越えて粟津の森の方へ行き、逢わなくなっても、清水に映った姿を忘れないでほしい、と詠んだ歌である。遠くへ去る人に、別れ際の面影を心にとどめてほしいと願っている。
詞書によれば、親しくしていた人が近江の方へ下って行ったときの歌である。次歌の第八百二首はこれに対する返しで、二首で贈答となっている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「関越えて」は、関を越えて、の意で、京から近江へ向かう逢坂の関を指している。
二句「粟津の森の」は、近江の粟津の森の、の意で、同じ音を重ねて三句の「あはず」を導いている。
三句「あはずとも」は、逢わないとしても、の意で、「とも」は逆接の仮定を表す。
四句「清水に見えし」は、清水に映って見えた、の意で、逢坂の関の清水を踏まえている。
結句「影を忘るな」は、面影を忘れるな、の意で、「な」は禁止を表す終助詞である。
あはづ:近江の地名、粟津。同音で「逢はず」を導く
しみづ:逢坂の関にあった清水、「関の清水」と呼ばれる歌枕
かげ:水に映った姿、面影
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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こりずまの浦の白浪立ち出でて よるほどもなくかへるばかりか
- 次の歌
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近ければ何かはしるし逢坂の 関の外ぞと思ひ絶えなん