我が宿と頼む吉野に君し入らば
同じかざしをさしこそはせめ
- 歌の意味
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私が住まいと頼みにしている吉野に、あなたが入るというのならば、私も同じかざしを挿して、ご一緒しようものを。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 809
詞書「返し」
私が住まいと頼む吉野にあなたが入るなら、同じかざしを挿して共にいよう、と詠んだ歌である。吉野に姿を隠すと言う相手に対し、それならば自分も同じ身の上になろうと、機知をもって切り返している。
前歌の第八百八首への返しである。前歌の「吉野の山」を受けて、吉野は自分こそが頼みとする地だと応じている。
作者の伊勢は、藤原継蔭の娘である。宇多天皇の中宮温子に仕え、宇多天皇の寵を受けた。のちに敦慶親王との間に中務をもうけた。三十六歌仙の一人である。
初句「我が宿と」は、私の住まいとして、の意である。
二句「頼む吉野に」は、頼みにしている吉野に、の意で、前歌の「吉野の山」を受けている。
三句「君し入らば」は、あなたが入るのならば、の意で、「し」は強めの副助詞である。
四句「同じかざしを」は、同じかざしを、の意で、同じ山の者として同じ身の上になることをたとえている。
結句「さしこそはせめ」は、挿しもしようものを、の意で、「こそ」は強めの係助詞、「め」は意志の助動詞「む」の已然形で、係り結びとなっている。
やど:住まい
かざし:髪や冠に挿す花や枝の飾り
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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ひたすらに厭ひ果てぬるものならば 吉野の山に行方知られじ
- 次の歌
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紅に袖をのみこそ染めてけれ 君を恨むる涙かかりて