濃さまさる涙の色もかひぞなき
見すべき人のこの世ならねば
- 歌の意味
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濃さを増していく涙の色も甲斐がない。見せるべき人が、もうこの世の人ではないのだから。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 817
詞書「題しらず」
濃さを増す涙の色も甲斐がない、見せるべき人がこの世の人ではないので、と詠んだ歌である。悲しみの涙がいくら色濃くなっても、それを見せたい人がもういないむなしさを嘆いている。
本巻の第八百十首から第八百十二首の紅の涙の一連と同じく涙の色を詠み、ここでは見せる相手のいない涙へと転じている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。なお本文の作者表記は「よみ人も」とあり、よみ人しらずを示している。
初句「濃さまさる」は、濃さが増していく、の意である。
二句「涙の色も」は、涙の色も、の意で、紅に染まる涙を踏まえている。
三句「かひぞなき」は、甲斐がない、の意で、「ぞ」は強めの係助詞で、連体形「なき」で結ぶ係り結びとなり、ここで句切れとなる。
四句「見すべき人の」は、見せるべき人が、の意である。
結句「この世ならねば」は、この世の人ではないので、の意で、三句と倒置になって甲斐のない理由を述べている。
このよ:現世、この世
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
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常磐にとたのめしことはまつほどの 久しかるべき名にこそありけれ
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住吉の岸に来寄する沖つ波 間なくかけても思ほゆるかな