見し夢の思ひ出でらるる宵ごとに
言はぬを知るは涙なりけり
- 歌の意味
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見た夢が思い出される宵ごとに、口に出さない私の思いを知っているのは、涙であったよ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 825
詞書「心の内に思ふことやありけん」
見た夢が思い出される宵ごとに、言わない思いを知っているのは涙であった、と詠んだ歌である。人には打ち明けない恋の思いを、涙だけが知っているとして、秘めた恋のつらさを詠んでいる。
詞書によれば、心の内に思うことがあったのであろうか、とされる歌である。本巻の第八百十三首、第八百十四首と同じく結句を「涙なりけり」としている。
作者の伊勢は、藤原継蔭の娘である。宇多天皇の中宮温子に仕え、宇多天皇の寵を受けた。のちに敦慶親王との間に中務をもうけた。三十六歌仙の一人である。
初句「見し夢の」は、見た夢が、の意で、恋しい人と逢った夢を指すと見られる。
二句「思ひ出でらるる」は、自然と思い出される、の意で、「らるる」は自発の助動詞「らる」の連体形である。
三句「宵ごとに」は、宵が来るたびに、の意である。
四句「言はぬを知るは」は、口に出さないことを知っているのは、の意である。本巻の第八百六十六首も「言はねども」と、口に出さない思いを詠んでいる。
結句「涙なりけり」は、涙であったよ、の意で、本巻の第八百十三首、第八百十四首と同じ結句である。
よひ:日が暮れて間もない頃、夜
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
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あきとてや今は限りの立ちぬらん 思ひにあへぬものならなくに
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白露のおきてあひ見ぬことよりは 衣返しつつ寝なんとぞ思ふ