なかなかに思ひかけては唐衣
身になれぬをぞうらむべらなる
- 歌の意味
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なまじ思いをかけてしまったので、唐衣が身になじまないように、あなたと親しくなれないことを、裏のある衣のように恨むようだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 848
詞書「女につかはしける」
なまじ思いをかけたので、唐衣が身になじまないように親しくなれないのを恨むようだ、と詠んだ歌である。衣を衣桁に掛けるように思いを掛けながら、身に添うことのない恋の恨めしさを、衣にちなむ語を連ねて詠んでいる。
詞書によれば、女のもとへ送った歌である。次歌の第八百四十九首はこれに対する返しで、二首で贈答となっている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「なかなかに」は、なまじっか、かえって、の意である。
二句「思ひかけては」は、思いをかけては、の意で、「かけ」に衣を「掛け」る意を重ね、三句の「唐衣」の縁語としている。次歌の第八百四十九首も「かけてこそ見め」と同じ語で応じている。
三句「唐衣」は、中国風の美しい衣で、四句の「身になれ」を導いている。本巻の第八百四首、次歌の第八百四十九首も三句に「唐衣」を置いている。
四句「身になれぬをぞ」は、身になじまないことを、の意で、衣が身になじむ意と、相手と親しむ意を重ねている。「ぞ」は強めの係助詞である。
結句「うらむべらなる」は、恨むようだ、の意で、「うらむ」に衣の「裏」と「恨む」を掛けている。「べらなり」は推量を表し、四句の「ぞ」を受けて連体形で結んでいる。
からころも:中国風の美しい衣、衣服の美称
なる:なれ親しむ、衣が身になじむ
うらむ:衣の「裏」と、「恨む」を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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君見ずて幾世経ぬらん年月の 経るとともにも落つる涙か
- 次の歌
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うらむともかけてこそ見め唐衣 身になれぬればふりぬとか聞く