ひきまゆのかくふたごもりせまほしみ
桑こきたれて泣くを見せばや
- 歌の意味
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繭が二匹の蚕を包むように、あなたと二人でこもっていたいので、桑の葉をしごき落とすように涙をしたたらせて泣くのを、見せたいものだ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 874
詞書「消息つかはしける女の返事に、まめやかにしもあらじなど言ひて侍りければ」
繭の中の二匹の蚕のように二人でこもりたいので、桑をしごき落とすように涙を流して泣くのを見せたい、と詠んだ歌である。本気ではないだろうと疑う女に対し、蚕や桑にちなむ語を連ねて、ともに暮らしたいという真剣な思いを訴えている。
詞書によれば、手紙を送っていた女から、本気ではないでしょう、などと返事があったときの歌である。
作者の「忠房朝臣」は藤原忠房である。藤原是嗣(興嗣とも)の子で、大和守、山城守などを経て右京大夫に至った。
初句「ひきまゆの」は、蚕が作った繭の、の意である。
二句「かくふたごもり」は、このように二匹がこもる、の意で、一つの繭に二匹の蚕がこもるさまに、二人で暮らしたい思いを重ねている。
三句「せまほしみ」は、したいので、の意で、「み」は原因や理由を表す。
四句「桑こきたれて」は、桑の葉をしごき落とすように、の意で、涙をしたたらせるさまをたとえている。「桑」は「ひきまゆ」の縁語である。
結句「泣くを見せばや」は、泣くのを見せたいものだ、の意で、「ばや」は願望を表す。
ひきまゆ:蚕が作った繭
ふたごもり:一つの繭に二匹の蚕がこもること
くは:蚕の餌となる桑
こきたる:しごき落とす、涙をしたたらせる
- 作者
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藤原忠房
- 出典
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後撰和歌集
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いつしかの音になきかへり来しかども 野辺の浅茅は色づきにけり
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関山の峰の杉むら過ぎゆけど あふみはなほぞはるけかりける