賤機に思ひ乱れて秋の夜の
明くるも知らず嘆きつるかな
- 歌の意味
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倭文織の糸が乱れるように思い乱れて、秋の夜が明けるのも気づかずに嘆き続けたことだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 902
詞書「忍びたる人につかはしける」
倭文織の糸のように思い乱れて、秋の夜が明けるのも知らずに嘆き続けた、と詠んだ歌である。機の糸の乱れに恋の思いの乱れを重ね、一晩中眠れずに嘆いた苦しさを訴えている。
詞書によれば、人目を忍ぶ恋の相手に送った歌である。秋の夜を詠む歌は本巻の第八百九十八首から続いており、夜明けの「明くる」は第八百九十九首の「あくれどあけぬ」とも響き合っている。
作者の「贈太政大臣」は藤原時平である。藤原基経の長男で、左大臣に至り、没後に太政大臣を贈られたためこう呼ばれる。菅原道真を大宰府に左遷したことで知られる。
初句「賤機に」は、倭文織の機のように、の意で、機の糸が乱れることから「乱れ」を導いている。
二句「思ひ乱れて」は、思い乱れて、の意で、機の糸の乱れと恋の思いの乱れを重ねている。
三句「秋の夜の」は、秋の長い夜の、の意である。
四句「明くるも知らず」は、夜が明けるのも気づかずに、の意で、一晩中嘆いていたことを示している。
結句「嘆きつるかな」は、嘆き続けたことだ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。
しづはた:倭文(しず)を織る機。乱れの序となる
- 作者
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藤原時平
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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人知れずもの思ふころの我が袖は 秋の草葉におとらざりけり
- 次の歌
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蓮葉の上はつれなきうらにこそ 物あらがひはつくといふなれ