来むと言ひて別るるだにもあるものを
知られぬ今朝のましてわびしさ
- 歌の意味
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また来ようと言って別れるのでさえつらいものなのに、あなたが去ったのも知らされなかった今朝の別れは、まして一層わびしいことだ。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1340
詞書「題しらず」
来ようと言って別れるのさえつらいのに、知らされなかった今朝はましてわびしい、と詠んだ歌である。また来ると約束して別れるのでさえつらいのに、相手が何も告げずに去ってしまった今朝の別れはなおさら寂しいと、恨みを込めて訴えている。
次歌は伊勢の返しで、二首は贈答の一組となっている。なお本文の結句は「ましてわびしさ」とあり、読み仮名の行の「ましてわひしき」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
作者の「贈太政大臣」は藤原時平である。関白藤原基経の長男で、左大臣に至り、菅原道真を大宰府へ左遷させたことで知られる。没後に太政大臣を贈られた。
初句「来むと言ひて」は、また来ようと言って、の意で、字余りとなっている。
二句「別るるだにも」は、別れるのでさえ、の意で、「だに」は軽いものを挙げて重いものを類推させる。
三句「あるものを」は、つらいものなのに、の意で、「ものを」は逆接を表す。
四句「知られぬ今朝の」は、別れを知らされなかった今朝の、の意である。
結句「ましてわびしさ」は、まして一層わびしいことだ、の意で、体言止めとなっている。
わびし:つらい、寂しい
- 作者
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藤原時平
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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待ちわびて恋しくならば尋ぬべく 跡なき水の上ならで行け
- 次の歌
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さらばよと別れし時に言はませば 我も涙におぼほれなまし