降りやめば跡だに見えぬうたかたの
消えてはかなき世を頼むかな
- 歌の意味
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雨が降りやめば跡さえ見えなくなる水の泡のように、今にも消えてしまいそうなはかない仲を、それでも頼みにしていることだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 904
詞書「男のつらうなりゆくころ、雨の降りければつかはしける」
雨が降りやめば跡さえ残らない水の泡のように、消えそうなはかない仲を頼みにしている、と詠んだ歌である。雨の日の水たまりに浮かぶ泡に二人の仲を重ね、頼りにならないと知りながら頼らずにいられない心を詠んでいる。
詞書によれば、男がしだいに冷たくなっていくころ、雨が降ったので送った歌である。目の前の雨の景から、男の心が離れていく不安を泡のはかなさに託している。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「降りやめば」は、雨が降りやむと、の意である。
二句「跡だに見えぬ」は、跡さえ見えない、の意で、「だに」は最小限のものを示す副助詞である。
三句「うたかたの」は、水の泡の、の意で、消えやすいもののたとえとして四句の「消えて」を導いている。
四句「消えてはかなき」は、消えてしまいそうではかない、の意である。
結句「世を頼むかな」は、二人の仲を頼みにしていることだ、の意で、「世」は男女の仲をいう。「かな」は詠嘆の終助詞である。
うたかた:水に浮かぶ泡
よ:男女の仲
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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蓮葉の上はつれなきうらにこそ 物あらがひはつくといふなれ
- 次の歌
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逢はでのみあまたの夜をも帰るかな 人目の繁き逢坂に来て