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霜の上に降る初雪の朝氷
とけずも物を思ふころかな

歌の意味
霜の上に降る初雪や朝の氷が解けないように、心も打ち解けないまま物思いをするこのごろであることよ。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 846

詞書「定文が家歌合に」
 霜の上に降る初雪や朝の氷が解けないように、心も晴れずに物思いをするこのごろだと詠む歌である。詞書から、平定文の家で催された歌合で詠まれた歌とわかる。霜、初雪、朝氷と冬の冷たい景物を重ねて序詞とし、晴れない恋の物思いを詠んでいる。

 初句「霜の上に」は、霜の上に、の意である。前の第八百四十一首の「霜にはあへず」と、霜を共有している。
 二句「降る初雪の」は、降る初雪の、の意である。ここから冬の景物を詠む歌となり、次歌の第八百四十七首も雪を詠んでいる。
 三句「朝氷」は、朝に張る氷で、初句からここまでが「とけず」を導く序詞となる。
 四句「とけずも物を」は、「とけ」が氷が「解け」と、心が「打ち解け」を掛ける掛詞である。
 結句「思ふころかな」は、物思いをするこのごろであることよ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。

あさごほり:朝氷。朝に張る氷
とく:氷が「解く」意と、心が「打ち解く」意を掛ける
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
我が背子を我が恋ひ居れば我が宿の 草さへ思ひうらがれにけり
次の歌
み吉野の雪にこもれる山人も ふる道とめて音をや泣くらん