人言のうきをも知らずありかせし
昔ながらの我が身ともがな
- 歌の意味
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人の噂のつらさも知らずに通い歩いた、昔のままの我が身であったらよいのに。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 911
詞書「人の娘に忍びて通ひ侍りけるに、つらげに見え侍りければ、消息ありける返事に」
人の噂のつらさも知らずに通い歩いた昔のままの我が身であったらよいのに、と詠んだ歌である。噂を気にせず自由に通えた頃を懐かしみ、人目を恐れねばならない今の恋の窮屈さを嘆いている。
詞書によれば、人の娘のもとへ忍んで通っていたが、娘がつらそうな様子に見えたので、娘から便りがあった返事に送った歌である。噂に苦しむ相手の思いを受け止め、自分も同じ思いであることを伝えている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「人言の」は、人の噂の、の意である。
二句「うきをも知らず」は、つらさも知らずに、の意である。
三句「ありかせし」は、通い歩いた、の意で、気ままに出歩いていた昔の様子を表している。
四句「昔ながらの」は、昔のままの、の意である。
結句「我が身ともがな」は、我が身であったらよいのに、の意で、「もがな」は願望を表す終助詞である。
ひとごと:人の噂、世間の評判
ありく:あちこち出歩く、通い歩く
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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影見ればいとど心ぞまどはるる 近からぬけの疎きなりけり
- 次の歌
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郭公なつきそめてしかひもなく 声をよそにも聞きわたるかな