君があたり雲居に見つつ宮道山
うち越えゆかむ道も知らなく
- 歌の意味
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あなたの住むあたりを遠く雲のかなたに見やりながら、宮道山を越えて行く道も知らないことだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 918
詞書「題しらず」
あなたの住むあたりを雲のかなたに見ながら、宮道山を越えて行く道も知らない、と詠んだ歌である。遠く離れた恋人の住むあたりを見やりつつ、逢いに行く手立てもないもどかしさを、山越えの道を知らないことにたとえている。
遠く隔たった相手を思う歌で、雲のかなたに見るという遠景の中に、逢う道の見つからない恋の嘆きを込めている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。なお本文の作者表記は「よみ人も」とあり、よみ人しらずを示している。
初句「君があたり」は、あなたの住むあたりを、の意で、六音の字余りとなっている。
二句「雲居に見つつ」は、雲のかなたに見ながら、の意で、遠く隔たっていることを表している。
三句「宮道山」は、三河国の宮路山とされる歌枕で、四句の「越えゆかむ」の対象となっている。
四句「うち越えゆかむ」は、越えて行こうとする、の意で、「む」は意志を表している。
結句「道も知らなく」は、道も知らないことだ、の意で、「なく」は打消しの助動詞「ず」の名詞化した形で、詠嘆を込めて言いさしている。
くもゐ:雲のある所、はるかに遠い所
みやぢやま:三河国の歌枕、宮路山
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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逢ふことのかたのへとてぞ我はゆく 身を同じ名に思ひなしつつ
- 次の歌
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思ふてふ言の葉いかになつかしな 後憂きものと思はずもがな