人をのみ恨むるよりは心から
これ忌まざりし罪と思はむ
- 歌の意味
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あの人ばかりを恨むよりは、自分の心から出たこととして、これを忌み避けなかった私の罪だと思おう。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 934
詞書「男の心変はる気色なりければ、ただなりける時、この男の心ざせりける風に書きつけて侍りける」
あの人ばかりを恨むよりは、自分の心から出たこととして、これを忌み避けなかった私の罪と思おう、と詠んだ歌である。男の心変わりを相手のせいばかりにせず、自分の落ち度として受け止めようとする、あきらめを含んだ心を詠んでいる。
詞書によれば、男の心が変わりそうな様子だったので、まだ何事もなかった時にその男が贈ってくれた品に書きつけた歌である。詞書の「風」は扇の誤りとみられ、「これ」はその扇を指すと解される。秋になると捨てられる扇は、捨てられる女の身のたとえとされることから、その扇を忌まずに受け取ったことを自分の罪と思おうと詠んだものとみられる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「人をのみ」は、あの人ばかりを、の意で、「のみ」は限定の副助詞である。
二句「恨むるよりは」は、恨むよりは、の意である。
三句「心から」は、自分の心から、自ら招いたこととして、の意である。
四句「これ忌まざりし」は、これを忌み避けなかった、の意で、「これ」は歌を書きつけた品を指すとみられる。
結句「罪と思はむ」は、自分の罪だと思おう、の意で、「む」は意志の助動詞である。
こころから:自分の心から、自分のせいで
いむ:不吉なものとして避ける、忌む
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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深く思ひそめつと言ひし言の葉は いつかあき風吹きて散りぬる
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あしひきの山下繁く行く水の 流れてかくし訪はばたのまむ