思ひわび君がつらきに立ち寄らば
雨も人目ももらさざらなん
- 歌の意味
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思い悩んだあげく、あなたのつれない葛城の住まいに立ち寄ったならば、雨も人目も漏らさないでほしい。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 953
詞書「右近につかはしける」
思い悩んであなたのつれない住まいに立ち寄ったならば、雨も人目も漏らさないでほしい、と詠んだ歌である。「君がつらき」の中に葛城の地名を詠み込み、つれない右近のもとを訪ねる時には、雨漏りも人目もさえぎって迎えてほしいと願っている。
詞書によれば、右近に送った歌である。葛城は本巻の第九百八十五首、第九百八十六首でも、久米路の岩橋とともに詠まれている。
作者の「左大臣」は藤原実頼である。藤原忠平の長男で、後撰和歌集が編まれた時に左大臣の地位にあり、のち関白太政大臣に至った。
初句「思ひわび」は、思い悩んで、の意である。
二句「君がつらきに」は、あなたのつれない所に、の意で、「つらき」に「辛き」を言いながら、「君が」の「か」から続けて大和の地名「葛城(かつらき)」を詠み込んでいる。
三句「立ち寄らば」は、立ち寄ったならば、の意で、「ば」は仮定の条件を表す。
四句「雨も人目も」は、雨も人の目も、の意である。
結句「もらさざらなん」は、漏らさないでほしい、の意で、「なん」は他に対する願望を表す終助詞「なむ」である。
おもひわぶ:思い悩む、思い嘆く
つらき:「辛き」と、地名の「葛城(かつらき)」を詠み込む
もらす:漏らす、外へ出す
- 作者
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藤原実頼
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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ありしだに憂かりしものを飽かずとて いづこに添ふるつらさなるらん
- 次の歌
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笛竹の本のふるねは変はるとも おのがよよにはならずもあらなん