いかにしてかく思ふてふことをだに
人づてならで君に語らん
- 歌の意味
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どうにかして、これほどあなたを思っているということだけでも、人づてではなく、直接あなたに語りたいものだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 961
詞書「忍びて御匣殿の別当にあひ語らふと聞きて、父の左大臣の制し侍りければ」
どうにかして、これほど思っているということだけでも、人づてではなく直接あなたに語りたい、と詠んだ歌である。逢うことを禁じられた中で、せめて思いの深さだけは自分の口から伝えたいという切実な願いを詠んでいる。
詞書によれば、作者がひそかに御匣殿の別当と親しくしていると聞いて、別当の父である左大臣が制止したので詠んだ歌である。本巻の第九百五十九首も御匣殿の別当に送られた歌で、同じ女性をめぐる恋が配されている。
作者の「あつただの朝臣」は藤原敦忠である。左大臣藤原時平の三男で、権中納言に至った。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「あひ見ての後の心にくらぶれば」の歌が採られている。
初句「いかにして」は、どうにかして、の意である。
二句「かく思ふてふ」は、これほど思っているという、の意で、「てふ」は「といふ」のつまった形である。
三句「ことをだに」は、ことだけでも、の意で、「だに」は最小限の願いを示す副助詞である。
四句「人づてならで」は、人づてではなく、の意で、「で」は打消しの接続助詞である。仲を禁じられ直接逢えない状況を表している。
結句「君に語らん」は、あなたに語りたい、の意で、「ん」は意志の助動詞「む」である。
ひとづて:人を介して伝えること
- 作者
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藤原敦忠
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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わびぬれば今はた同じ難波なる みをつくしても逢はむとぞ思ふ
- 次の歌
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もろともにいざと言はずは死出の山 越ゆとも越さむものならなくに