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あらたまの年の三年はうつせみの
むなしき音をや泣きて暮らさむ

歌の意味
三年もの年月を、蝉の抜け殻のようにむなしく、声を上げて泣いて暮らすことになるのだろうか。
鑑賞
巻第十三 恋歌五 971

詞書「かく言ひ通はすほどに、三年ばかりになり侍りにければ」
 三年もの年月を、空蝉のようにむなしく泣いて暮らすのだろうか、と詠んだ歌である。歌を交わすばかりで逢えないまま三年が過ぎたことを、むなしく鳴く蝉にたとえて嘆いている。
 詞書によれば、前の第九百六十九首、第九百七十首のようにやりとりを続けるうちに三年ほどになったので詠んだ歌である。前歌の「むなしき空」を受けて「むなしき音」と詠んでおり、空蝉の「むなし」は本巻の第八百九十六首とも共通している。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「あらたまの」は、「年」にかかる枕詞である。
 二句「年の三年は」は、三年という年月を、の意である。
 三句「うつせみの」は、蝉の抜け殻の、の意で、「むなし」を導いている。
 四句「むなしき音をや」は、むなしい声を、の意で、「音」は泣く声で、蝉の鳴き声を重ねている。「や」は疑問の係助詞である。
 結句「泣きて暮らさむ」は、泣いて暮らすのだろうか、の意で、四句の「や」を受けて連体形「む」で結ぶ係り結びとなっている。

みとせ:三年
うつせみ:蝉の抜け殻
ね:声、泣き声
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
山びこの声のまにまに訪ひ行かば むなしき空に行きや帰らん
次の歌
流れ出づる涙の川の行く末は つひにあふみの海と頼まむ