逢ふ事をよどに有りてふみつのもり
つらしと君を見つるころかな
- 歌の意味
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逢うことが淀んでいるという、淀にある美豆の森の名のように、あなたを薄情な人だと見てきたこのごろであることよ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 994
詞書「人のもとにつかはしける」
逢うことが淀むという淀の美豆の森のように、あなたを薄情な人だと見るこのごろだ、と詠んだ歌である。山城国の淀と美豆の森という隣り合う地名を連ね、逢瀬がとどこおっている恨めしさを地名に寄せて訴えている。
詞書によれば、恋しい人のもとに送った歌で、次歌の第九百九十五首に返しが置かれ、贈答の形となっている。恋歌六の巻頭歌で、巻末の第千七十四首が「相坂山」を詠んで逢うことへの思いで結ぶのに対し、本歌は「逢ふ事を」と詠み起こしており、巻の初めと終わりが「逢ふ」の語で呼応している。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「逢ふ事を」は、逢うことを、の意で、一首の主題を初めに示している。巻末の第千七十四首の「相坂山」と「逢ふ」の語で呼応している。
二句「よどに有りてふ」は、淀にあるという、の意で、「よど」に地名の淀と、とどこおる意の「淀む」を掛けている。「てふ」は「といふ」のつまった形である。
三句「みつのもり」は、淀の近くにあった美豆の森のことで、「みつ」が結句の「見つる」に響いている。次歌の初句にも同じ「みつのもり」が置かれている。
四句「つらしと君を」は、薄情な人だとあなたを、の意である。
結句「見つるころかな」は、見てきたこのごろであるよ、の意で、「つる」は完了の助動詞、「かな」は詠嘆の終助詞である。
よど:山城国の地名の淀と、とどこおる意の「淀む」を掛ける
みつのもり:山城国の淀の近くにあった美豆の森。「見つ」を響かせる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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水まさる心地のみしてわがために うれしき瀬をば見せじとやする
- 次の歌
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みつのもりもるこのころのながめには 怨みもあへずよどの河浪