みつのもりもるこのころのながめには
怨みもあへずよどの河浪
- 歌の意味
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美豆の森に雨の漏るこのごろの長雨に物思いをしていては、恨みきることもできず、淀の川波のようにとどこおっている。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 995
詞書「返し」
美豆の森に雨の漏るこのごろの長雨に、恨みきることもできず、淀の川波のようにとどこおっている、と詠んだ歌である。前歌の「美豆の森」と「淀」をそのまま受け、長雨に沈む物思いのために、恨む気持ちさえ言い尽くせないと返している。
詞書によれば、前歌の第九百九十四首への返しである。前歌が逢瀬のとどこおりを相手のつれなさとして責めたのに対し、本歌は長雨の物思いを挙げて、とどこおっているのはこちらも同じだと応じている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「みつのもり」は、美豆の森、の意で、前歌の三句をそのまま受けている。
二句「もるこのころの」は、雨の漏るこのごろの、の意で、「もる」に雨が漏る意と、森を守る意を掛けている。
三句「ながめには」は、長雨には、の意で、「ながめ」に長雨と、物思いにふけって眺める意の「眺め」を掛けている。
四句「怨みもあへず」は、恨みきることもできず、の意で、「あへず」は、しきれない、の意を表す。
結句「よどの河浪」は、淀の川の波、の意で、「よど」に地名の淀と「淀む」を掛け、前歌の二句を受けている。体言止めで余情を残している。
もる:雨が漏る意と、守る意を掛ける
ながめ:長雨の意と、物思いにふけって眺める意を掛ける
よど:山城国の地名の淀と、とどこおる意の「淀む」を掛ける
あふ:しきる。「あへず」でしきれない意
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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逢ふ事をよどに有りてふみつのもり つらしと君を見つるころかな
- 次の歌
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うき世とは思ふものから天の戸の あくるはつらき物にぞ有りける