恨むれど恋ふれど君が世とともに
知らず顔にてつれなかるらん
- 歌の意味
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恨んでも恋い慕っても、あなたはいつまでも知らぬ顔で、どうしてこれほど冷淡なのだろう。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 997
詞書「女のもとにつかはしける」
恨んでも恋い慕っても、あなたはいつも知らない顔で冷たいのはなぜだろう、と詠んだ歌である。恨みと恋しさの両方をぶつけても、まるで届いていないかのような相手の態度へのもどかしさを訴えている。
詞書によれば、女のもとに送った歌で、次歌の第九百九十八首に女の返しが置かれている。本歌の「恨むれど恋ふれど」を、返しの初句と二句が「怨むとも恋ふとも」と受けており、言葉を写して切り返す贈答となっている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「恨むれど」は、恨んでも、の意で、「ど」は逆接の接続助詞である。次歌の初句「怨むとも」と対応している。
二句「恋ふれど君が」は、恋い慕っても、あなたが、の意で、初句と同じ「ど」を重ねて畳みかけている。
三句「世とともに」は、いつまでも、常に、の意である。
四句「知らず顔にて」は、知らない顔をして、の意で、相手のそっけない態度を示している。次歌の結句「そらに知るべき」がこの「知る」を受けている。
結句「つれなかるらん」は、冷淡なのだろう、の意で、「らん」は原因を推量する助動詞である。
しらずがほ:知らないふりをする顔つき
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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うき世とは思ふものから天の戸の あくるはつらき物にぞ有りける
- 次の歌
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怨むとも恋ふともいかが雲居より はるけき人をそらに知るべき